クリック数が減ったとき、順位下落と決めつける前に確認したこと

検索からのクリック数が減っていることに気づくと、多くの場合は「検索順位が下がったのではないか」と考えます。ワクワクラボが実際に診断した案件では、クリック数は確かに減っていましたが、主な原因は検索順位の下落ではありませんでした。クリック数が減る原因は複数あり、原因によって取るべき対処は正反対になります。この記事では、愛知県の住宅リノベーション会社様のサイトを16ヶ月分の日次データで診断した記録をもとに、原因の切り分け方、平均掲載順位が悪化して見える理由、そして自分で確認できる診断の手順を整理します。
クリック数が減っても、順位が下がっているとは限らない

検索からのクリック数とは、検索結果に表示されたページが実際に選ばれた回数である。
ワクワクラボでは、愛知県の住宅リノベーション会社様のサイトについて、16ヶ月分の日次データを分析しました。クリック数は減少していましたが、検索順位そのものの下落は確認されませんでした。減少の主な原因は、一時的に高まっていた検索需要が消滅したことでした。サイトの中身が悪化したのではなく、検索する人がいなくなっていた、というのがこのケースの実態です。
このケースで実際に起きていたこと
このサイトには、一時的にニュースで検索が急増したテーマ群がありました。そのテーマ群は、ピーク時に全クリックの約2割を占めていました。その後、話題が収束したことで、その分のクリックが自然に消えました。日次で推移を追うと、減少はサイト全体で一様に起きたのではなく、このテーマ群に集中していました。他のテーマのクリックは、同じ時期に大きく崩れていませんでした。ワクワクラボは、この分布を見て、サイト全体の評価が下がったのではないと判断しました。
原因を取り違えると対処が正反対になる
仮に原因が検索順位の下落であれば、記事の内容と構成を見直す必要があります。しかし原因が検索需要の消滅であれば、記事を書き直しても消えたクリックは戻りません。この2つは、数値の上ではどちらも「クリック数の減少」として同じように見えます。今回のケースでは順位の下落が確認されなかったため、ワクワクラボは記事を書き直す対応は不要だと判断しました。原因を特定しないまま書き直していれば、結果につながらない作業に時間を使うことになっていました。
クリック数が減る原因は1つではない

クリック数の減少とは、検索順位・検索需要・計測のいずれかが変化した結果である。
クリック数が減ったという事実だけでは、何が起きたのかは分かりません。ワクワクラボが診断のときに切り分けている原因を整理すると、次のようになります。
| 原因 | 数値上の見え方 | 確認する方法 | 対処の方向 |
|---|---|---|---|
| 検索順位の下落 | 特定のクエリで順位が落ち、あわせてクリックも落ちる | クエリ単位で順位とクリックを並べて確認する | 記事の内容と構成を見直す |
| 一時的な検索需要の消滅 | 順位は変わらないまま、表示回数ごと落ちる | 日次で推移を見て、落ちたテーマ群を特定する | サイト側の対処は不要と判断できる |
| 計測データの反映の遅れ | 実体は変わっていないのに数値だけが落ちて見える | サイトのHTMLを直接確認する | サイトを触らず、反映を待つ |
この3つは、対処がそれぞれ異なります。1つ目に該当する場合は記事そのものに手を入れることになりますが、その進め方は検索順位そのものを上げるために何をするかを解説した記事にまとめています。2つ目と3つ目に該当する場合、サイトに手を入れる必要はありません。診断の目的は、この切り分けを先に済ませることです。
平均掲載順位が悪化して見えた理由

平均掲載順位とは、条件の異なる多数の検索結果をひとつに平均した値である。
このケースでは、平均掲載順位の数値そのものは悪化して見えていました。しかし内訳を分けて確認したところ、個別のクエリで順位が落ちていたわけではありませんでした。平均という値の性質によって、悪化して見えていただけでした。要因は3つ確認できました。
記事を増やすと平均は下がる
記事の本数を増やすと、新しく公開した記事は最初のうち下位に表示されます。既存の記事の順位が変わっていなくても、下位に出る記事が母数に加わることで、全体の平均は下がります。これは、サイトの評価が下がったことを意味しません。記事を増やしている時期に平均掲載順位が下がるのは、むしろ自然な動きだとワクワクラボは考えています。平均の変化だけを見て施策の成否を判断すると、逆の結論に至ります。
海外からの表示がノイズとして混ざる
このサイトでは、海外からの表示が数値に混ざっていました。商圏の外からの表示は、実際の見込み客の動きを表していません。それにもかかわらず母数には含まれるため、平均掲載順位を押し下げます。ワクワクラボは、この分を切り分けたうえで数値を確認しました。国や地域で絞り込まずに全体の平均だけを見ていると、実態と異なる数値をもとに判断することになります。
PCとモバイルで順位が異なる
同じページでも、PCとモバイルでは検索結果での順位が異なります。合算した平均を見ていると、どちらの数値が動いたのかが分かりません。読者の多くがモバイルで見ているサイトであれば、判断の材料になるのはモバイルの数値です。ワクワクラボは、デバイスを分けて確認することで、合算値では見えなかった動きを判断できるようになりました。平均掲載順位は、分けて見ることではじめて判断に使える数値になります。
自分でできる診断の手順
診断とは、サイトを修正する前に、何が起きているのかを特定する作業である。
ここまでの切り分けは、専門的なツールがなくても、検索パフォーマンスのデータを見る順番を変えるだけで進められます。ワクワクラボが実際に行った手順は次の3つです。
月次ではなく日次で見る
月単位の集計値では、日ごとの動きが平準化されて見えなくなります。一時的な検索需要の増加と収束は、日次で見ることではじめて形が分かります。今回の診断でも、日次データにしたことで、減少が特定の時期に集中していることが確認できました。まず表示期間を日次に切り替えて、いつから減り始めたのかを特定してください。ここが特定できないまま次に進むと、原因の見当をつけられません。
クエリ単位に分解する
サイト全体の合計値は、複数の異なる動きを足し合わせた結果です。合計が減っていても、すべてのクエリが一様に減っているとは限りません。クエリ単位に分解すると、落ちているものと落ちていないものが分かれます。今回のケースでは、減少が特定のテーマ群に集中しており、他のテーマは大きく崩れていませんでした。この分布が分かれば、サイト全体の問題なのか、一部の話題の問題なのかを判断できます。
表示回数とクリック数を分けて見る
表示回数とクリック数は、別の意味を持つ数値です。表示回数ごと落ちているのであれば、検索する人自体が減った可能性があります。表示回数は変わらずクリック数だけが落ちているのであれば、検索結果での見え方や順位に原因がある可能性があります。この2つを分けて見るだけで、原因の候補は大きく絞り込めます。今回のケースは前者にあたり、検索する人がいなくなっていたと判断しました。
サイトを触る前に、実際のHTMLを確認する

インデックスされていない状態とは、ページが検索エンジンに登録されていない状態である。
別のケースでは、一部のページがインデックスされていないように見えました。表示されている情報だけを見れば、ページ側に問題があるように読み取れる状態でした。ワクワクラボはサイトに手を入れる前に、対象ページのHTMLを直接確認しました。その結果、noindex は入っておらず、ページ側に問題は見つかりませんでした。計測データの反映が遅れていただけでした。もし表示だけを見て対応していれば、問題のない箇所を修正することになっていました。数値が示す状態と実際の状態は一致しないことがあるため、ワクワクラボは実体の確認を先に行うようにしています。
よくある質問
クリック数が減ったら、すぐに記事を書き直したほうがよいですか?
原因を特定する前に書き直すことは、ワクワクラボではおすすめしていません。今回診断した案件では、クリック数は減っていましたが検索順位の下落は確認されず、記事を書き直す対応は不要だと判断しました。原因が一時的な検索需要の消滅であれば、記事を書き直しても消えたクリックは戻りません。まず原因を切り分けてから、手を入れる範囲を決めてください。
平均掲載順位が下がっていても、順位が下がっていないことがあるのですか?
あります。平均掲載順位は、条件の異なる多数の検索結果をひとつに平均した値です。記事の本数を増やすと、新しい記事は最初は下位に表示されるため平均は下がります。海外からの表示がノイズとして混ざった場合も平均は押し下げられます。さらにPCとモバイルでは順位が異なるため、合算した値では実態がぼやけます。平均だけを見て順位が下がったと判断しないでください。
診断にはどのくらいの期間のデータが必要ですか?
今回診断した案件では、16ヶ月分の日次データを使いました。一時的な検索需要の増減を見分けるには、需要が増えた時期と収束した時期の両方が含まれる長さが必要になります。月次の集計値だけでは、日単位で起きた変化が平準化されて見えなくなります。
まとめ
- クリック数の減少は、検索順位の下落を意味するとは限らない
- 今回診断した案件では、主な原因は一時的な検索需要の消滅で、順位の下落は確認されなかった
- そのテーマ群はピーク時に全クリックの約2割を占めており、話題の収束にともなって自然に消えた
- 原因が需要の消滅であれば、記事を書き直しても消えたクリックは戻らないため、書き直しは不要と判断した
- 平均掲載順位は、記事の増加・海外からの表示・デバイスの違いによって、順位が落ちていなくても悪化して見える
- 診断は、日次で見る・クエリ単位に分解する・表示回数とクリック数を分ける、の順で進める
- 数値が示す状態と実際の状態は一致しないことがあるため、サイトを触る前にHTMLを確認する
ワクワクラボでは、サイトのアクセス状況を分析するサービスも提供しています。あわせてサイトそのものを作り直すか迷っている場合は、制作にかかる費用と内訳を整理した記事も参考にしてください。


