動画制作の見積もりを予算に合わせるとき、削れる工程と削れない工程

こんにちは。ワクワクラボのはぜやまです。
先日、タイムラプス動画の案件で、クライアントから「予算に合わせて見直したい」というご相談がありました。3つの見直し案を提示していただいたのですが、そのうち2つは応じられ、1つはお断りしました。今日は、その判断の分かれ目と、動画の見積もりのどこが削れて、どこが削れないのかをまとめます。
東北エリアの屋外撮影案件で受け取った、3つの見直し案のこと

その案件は、屋外の建物を撮り続けタイムラプスにする構成でした。夕方の明るいうちから撮り始めて、日が沈み、真夜中を経て、翌朝の朝日が入るまでを1本の動画にまとめる、という条件です。
クライアントからいただいた見直し案は、次の3つでした。
- 構成と絵コンテを、クライアント側で用意する
- 撮影で残す写真データは軽い形式のみとして、色を整える処理を省く
- 撮影はクライアント側で行い、編集だけを依頼する
結論から書きますね。私たちは、1と3は応じられると回答しました。一方で、2はお断りしました。理由は、この撮影の条件では、色を整える処理を省くと仕上がりが破綻するためです。順に説明します。
「編集を省く」を見送った理由。省くと何が起きるか

まず、お断りした「2」の話からです。
夕方から真夜中を経て朝日までを、同じ動画の中でつなぐと、明るさが大きく変わります。夕方の明るさと真夜中の暗さは、目で見た印象以上に、光の量そのものが違います。この変化を、なめらかにつないで一本の動画に見せるための下処理があります。
その下処理を支えているのが、写真を「濃く/薄く」自由に調整できる形式で撮っておくこと、そして撮った素材ごとに明るさを合わせ、明るさのちらつきをならしていく作業です。技術的な呼び方は、それぞれ「RAW現像」「露出調整」「フリッカー処理」の3つです。「RAW現像」は、あとから明るさを整えられるように、撮影データを「RAW」という形式で残しておく作業のことですね。「露出調整」は、素材ごとに明るさをそろえる作業です。「フリッカー処理」は、コマごとに残る細かい明るさの揺れをならす作業を指します。
これらを省くと、明るさが大きく変わるシーンでは3つの現象が残ります。
夕方の光が入っているシーンでは、明るい部分が真っ白に飛んでしまい、建物のディテールが消えます(白飛び)。真夜中のシーンでは、暗い部分が真っ黒につぶれて、何が写っているのか読み取れなくなります(黒つぶれ)。そして、夕方から夜へ、夜から朝へと切り替わる場面では、明るさが1コマごとに小刻みに揺れて、目に付くチラつきになります。
この3つが残った状態で編集を進めても、あとから消すことはできません。撮影のときに「濃く/薄くを自由に動かせる形式」で残っていることが前提の処理だからです。ここは、削ると仕上がりが目に見えて落ちる工程だと私たちは判断しました。
削れる項目は「編集の中身」ではなく「撮影体制」の側にあります
一方で、1と3の案は応じられました。この2つは、削っても仕上がりそのものは大きく落ちません。ただし、代わりに増える手間があります。
構成と絵コンテを、クライアント側で用意する(案1)
案1は、撮影前に「何をどの順で映すか」を決める作業を、クライアント側で担っていただく形です。私たちの側では、進行管理と撮影当日の指示、修正対応が残るため、この項目そのものがゼロになるわけではありません。ただ、構成のたたき台を持ち込んでいただけると、その分の作業を減らすことができますね。
伝えたいこと、外せないカットが社内で明確になっている場合は、この案は自然な削り方です。
撮影をクライアント側で行い、編集だけを依頼する(案3)
案3は、私たちが行う工程のうち、撮影そのものを外す形です。撮影の人件費と機材、当日の段取りが、この案件の見積もりの中でも大きな部分を占めていました。ここが削れると、金額の動きも大きくなります。
ただし、この案には条件が2つあります。
撮影をクライアント側で行うとき、事前に決めておく2つのこと

案3を進めるときに、私たちが必ずお願いしていることが2つあります。
1. 撮影指示書を、私たちの側から提供します
「何を、どのくらいの明るさで、どのくらいの長さで撮っておいてほしいか」を書き出した指示書を、こちらから用意します。編集の工程で使うことを前提にした撮り方には、コツがあります。指示書があると、撮り直しになりやすいポイントを事前につぶせるため、当日の判断が減ります。
2. 撮り直しができないシーンの、リスク分担を先に決めておきます
タイムラプス撮影のように、天候と時間帯が組み合わさるシーンは、撮り直しがききません。もう一晩待つと、明日の天気が今日と同じとは限らないためです。うまく撮れなかった場合に、どちらがどう対応するかを、契約の前に決めておくと、あとで揉めにくくなります。
案2と案3を、同時にはお受けしないようにしています
案3(クライアント側で撮影)を進める場合、案2(下処理を省く)は同時にはお受けしないようにしています。撮影の中身が制作会社から離れた状態で、さらに下処理も省くと、素材そのものが破綻したときに、編集で救う余地がなくなるためです。
素材が破綻していると、編集では救えません。ここは変えられないラインです。案3を進める場合、下処理はむしろ丁寧に残しておく、というのが私たちの立て方です。
ここまで読んで、いま検討している見積もりはどう見直せそうか気になった方は、LINEから気軽に聞いてください。
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見積書で意味が伝わりにくい項目を、あらためて言葉にします
動画制作の見積書には、発注する側から見て「これは何の作業なんだろう」と感じる項目がいくつかあります。ワクワクラボが実際にご質問をいただくことが多い3つを、順に言葉にしてみますね。
「フォーマット変換」は、配信先ごとに動画を書き出し直す作業のことです
完成した動画は、配信する場所ごとに、画面の縦横比と、圧縮のかけ方が違います。YouTube向けの横長、Instagramのリールやストーリーズ向けの縦長、TikTok向けの縦長。同じ内容の動画でも、それぞれに合わせて書き出し直す作業が「フォーマット変換」です。1本作れば全部に使い回せる、という性質のものではありませんね。
「企画・構成費」は、撮影前に何をどの順で映すかを決める作業のことです
撮影に入る前に、伝えたいことを絞り込み、それを見せる順番と長さを決めておく作業です。ここが決まっていないと、撮影当日に何を撮ればよいかが定まらず、あとの編集にも影響します。案1で「クライアント側で構成を用意する」と言うときに削れるのは、この項目の一部です。
「ディレクション費」は、撮影と編集の全体を回すための作業のことです
構成案の策定、進行管理、撮影当日の立ち会いと指示、修正への対応、外注先との調整。これらが「ディレクション費」に含まれます。構成をクライアント側で持ち込んでいただければ、構成案の策定分は減らせます。一方で、進行管理・立ち会い・修正対応は残るため、この項目がゼロになるわけではありません。
見積書全体の考え方については、ワクワクラボの動画編集サービスにも扱っている範囲をまとめています。見積書の内訳の読み方そのものは、名古屋のホームページ制作費用の相場は?内訳と金額差の理由にも近い考え方を書いていますので、あわせて参考にしてください。
よくある質問
予算に合わない場合、まず何を制作会社に伝えればよいですか?
「予算はこの範囲で、そのぶん何を減らせるかを一緒に考えたい」という伝え方が動きやすいです。金額の目標だけを伝えると、制作会社の側でどこを削るかの判断を任せることになります。目標金額と、外せないポイント(このシーンだけは残したい、配信先はここに絞れる、など)をあわせて伝えると、複数の見直し案が返ってきやすくなります。
撮影を自社で行う場合、何を準備すればよいですか?
制作会社から撮影指示書をもらってください。何を、どのくらいの明るさで、どのくらいの長さで撮っておくかが具体的に書かれているものです。あわせて、撮り直しが効かないシーン(天候や時間帯の条件が重なるもの)については、うまく撮れなかったときの対応を事前に決めておくと、あとで揉めにくくなります。
見積書の項目は、どこまで細かく聞いてよいですか?
聞ける範囲は広めに取ってよいと私たちは考えています。「この項目は具体的に何をする作業ですか」「これを省いたら、仕上がりのどこに影響しますか」の2つは、金額を判断するうえで欠かせない情報です。答えづらい聞き方ではないので、遠慮せずに確認してください。
この記事の要点
- 動画の見積もりには、削っても仕上がりに大きく影響しない項目と、削ると仕上がりが破綻する工程がある
- 削れないのは、撮影後に明るさを整える下処理(RAW現像・露出調整・フリッカー処理)で、省くと白飛び・黒つぶれ・チラつきが残る
- 削れるのは、撮影体制の側にある工程(構成・絵コンテの持ち込み、撮影を自社で行う)
- 撮影を自社で行う場合は、撮影指示書の提供と、撮り直しができないシーンのリスク分担を事前に決めておく
- 「編集の下処理を省く」と「撮影を自社で行う」を同時に受けない。素材が破綻したときに編集で救えなくなるため
- 見積書の「フォーマット変換」「企画・構成費」「ディレクション費」は、それぞれ意味と削れる/残る範囲がある
- 予算に合わせるときは、目標金額と外せないポイントをセットで伝えると、見直し案が返ってきやすい
ワクワクラボでは、いま検討している動画の見積もりについて、どこを削って、どこを残すかを一緒に考える段階からご相談いただけます。「他社の見積もりの読み方を確認したい」という段階でも大丈夫です。


