ネットで申し込みを受けるなら、特定商取引法に基づく表記が必要になる。自社に当てはまるかの見分け方と書く項目

開業してホームページを作るとき、「特定商取引法に基づく表記」というページを見かけて、うちにも要るのかと迷う方は多いのではないでしょうか。結論から言うと、サイトを見た人がネットや電話で申し込み、それを受けて商品やサービスを提供するなら、表記が必要になる場面です。
この記事では、消費者庁の「特定商取引法ガイド」をもとに、表記が必要になる場面と、書く項目を整理します。読み終えるころには、自社のサイトが当てはまるか、何を用意すればよいかが分かるはずです。本文の内容は、2026年11月5日に消費者庁のページで確認したものです。
結論:サイトで申し込みを受けて販売やサービス提供をするなら、表示する項目が法律で決まっています

特定商取引法の表記は、なんだか難しそうに見えますよね。けれど、立ち上げ期に確かめることを並べると、次の4つに収まります。上から順に見ていけば、自社に必要かどうかの見当がつくと思います。
| 確かめること | 見るポイント | 出典 |
|---|---|---|
| 1. 通信販売にあたるか | 広告を見た人が、郵便・電話・インターネットなどで申し込む取引か | 消費者庁「通信販売」 |
| 2. サイトのどこが広告か | 申し込みを受ける意思が明らかで、その表示から申し込めるページか | 消費者庁「通信販売広告について」 |
| 3. 何を書くか | 価格、支払と引渡しの時期、返品やキャンセル、事業者の名前・住所・電話番号など | 法第11条(消費者庁の解説) |
| 4. どこに置くか | 「特定商取引法に基づく表記」などのリンクで、すぐたどれる場所 | 消費者庁「通信販売広告について」 |
なお、消費者庁のガイドは、内容は概要であり、詳しくは条文を見るよう案内しています。この記事も同じく概要の整理です。個別の判断が必要なときは、記事の後半で紹介する公的な窓口に確かめてください。
それではまず、「通信販売」とは何を指すのか、から見ていきましょう。
「通信販売」とは、広告を見た人が郵便・電話・インターネットなどで申し込む取引のことです
特定商取引法でいう通信販売とは、事業者が新聞、雑誌、インターネットなどで広告し、郵便や電話などの通信手段で申し込みを受ける取引のことです。消費者庁のガイドでは、こう定義されています。
対象は、商品の販売だけではありません。ガイドの定義には「役務の提供」も含まれており、役務とはいわゆるサービスのことです。つまり、ネットで予約や申し込みを受けるサービス業も、通信販売にあたる場合があるのです。
申し込みの手段も幅広く定められています。ガイドによると「郵便等」には、郵便、電話、ファクシミリ、インターネットのほか、預金口座への払込みも含まれます。
個人事業でも、くり返し取引をしていれば対象になります
ガイドは「販売業者又は役務提供事業者」を、販売やサービスの提供を業として営む者と説明しています。業として営むとは、営利の意思をもって、反復継続して取引を行うことです。
この要件にあてはまれば、個人でも対象になると明記されています。法人を作る前の、個人事業として始めたばかりの時期でも、表記の要否は同じように考えるということですね。
事業者どうしの取引など、法律が適用されない場合もあります
ガイドは、特定商取引法が適用されない場合をいくつか挙げています。その1つが「営業のため、又は営業として締結するもの」です。ほかに、海外にいる人への販売や、事業者が自社の従業員に行う販売なども挙げられています。
ここからは見方ですが、取引先が事業者だけだと思っていても、個人のお客様から申し込みが入ることはあり得ます。申し込みフォームを誰でも使える形で公開するなら、どちらのお客様がいるかを一度整理しておくと判断しやすくなります。
サイトのどのページが「広告」になるかは、そこから申し込めるかで決まります

ガイドによると、通信販売の「広告」にあたるのは、事業者が申し込みを受ける意思が明らかで、消費者がその表示から申し込めるものです。通信販売をすると明示していなくても、送料や口座番号を載せている場合は広告にあたると書かれています。
広告媒体は問われません。新聞や雑誌だけでなく、チラシ、テレビ、インターネット上のウェブサイト、電子メールで表示されるものも含まれます。
商品やサービスを紹介するランディングページも、広告にあたります
通信販売広告Q&AのQ3では、商品を紹介するランディングページも、特定商取引法でいう広告にあたると説明されています。そのため、そのページの中で法第11条の事項を表示する必要がある、という回答です。
ランディングページとは、申し込みや問い合わせへ誘導するための1枚のページです。これを先に作る場合は、表記の置き場所もあわせて決めておきたいところです。ランディングページとホームページの違いは、ランディングページとホームページの違い。どちらを先に作るべきかで整理しています。
メールやバナーは、リンク先のページと一体で広告とみなされます
ガイドによると、電子メールやバナーで広告するときは、本文とリンク先のサイトを一体として広告とみなします。本文にURLしか書いていなくても、リンク先で販売条件を示していれば、そのメールは通信販売の広告にあたります。
表記に書く項目は、法第11条で決まっています
ガイドが挙げている、広告に表示する事項は次のとおりです。立ち上げ期のサイトで関係しやすいものを先に並べ、該当する場合だけ書くものを後にまとめました。
| 区分 | 表示する事項 |
|---|---|
| 基本の項目 | 販売価格(サービスの対価)。商品の場合は送料も |
| 基本の項目 | 代金の支払時期と支払方法 |
| 基本の項目 | 商品の引渡時期(サービスの提供時期) |
| 基本の項目 | 申し込みの撤回や契約の解除に関すること(返品の特約があればその内容) |
| 基本の項目 | 事業者の氏名(名称)、住所、電話番号 |
| 法人がネットで広告する場合 | 代表者、または通信販売の業務の責任者の氏名 |
| 該当する場合 | 価格や送料のほかに負担する金銭があれば、その内容と金額 |
| 該当する場合 | 申し込みの期間の定めがあれば、その旨と内容 |
| 該当する場合 | 契約を2回以上続けて結ぶ必要があれば、その旨と条件 |
| 該当する場合 | 販売数量の制限など、特別な条件があればその内容 |
| 該当する場合 | ソフトウェアの取引なら、その動作環境 |
| 該当する場合 | 契約に合わない商品が届いたときの責任について定めがあれば、その内容 |
| 該当する場合 | 請求でカタログなどを送り、有料ならその金額 |
| 該当する場合 | 電子メールで広告するなら、事業者のメールアドレス |
項目の数に驚くかもしれません。ただ、自社の取引にあてはまらない項目は書く必要がないため、実際に書く量はもっと少なくなるはずです。ここからは、立ち上げ期につまずきやすい4つの項目を見ていきます。
名前は、登記上の名称か戸籍上の氏名を書きます。屋号だけでは足りません
ガイドによると、法人は登記簿上の名称を、個人事業者は戸籍上の氏名か商業登記簿に記載された商号を書きます。通称や屋号、サイト名だけでは認められないと書かれています。
法人がインターネットで広告する場合は、代表者か、通信販売の業務の責任者の氏名も必要です。責任者は、担当役員や担当部長など実務の責任者を指し、代表権がなくてもよいと説明されています。
住所は現に活動している場所を、電話番号は確実につながる番号を書きます
住所は、現に活動している住所を、番地まで正確に書くよう求められています。番地を省いた表示や、活動していない私書箱だけの表示は認められないと、ガイドに例が載っています。
電話番号は、確実に連絡が取れる番号であることが求められます。一方でQ&AのQ20では、営業していない夜間などに留守番電話を使うことは構わないと回答されています。
支払時期と引渡時期は、「できるだけ早く」ではなく期間か期限で書きます
引渡時期は、期間または期限で示す必要があります。Q&AのQ9では「○日以内」「○月○日まで」のような書き方が例として示されています。
ガイドには、不適切な例も載っています。「発送はできるだけ早急に行います」は時期を明確にしたことにならず、「入荷次第」も時期を示したことにならないと書かれています。支払方法も、使える方法をすべて書く必要があり、一部だけの記載は認められないとされています。
返品やキャンセルの条件は、「その都度ご相談」では足りません
通信販売には、訪問販売などで認められているクーリング・オフの規定はありません。そのかわり、商品を受け取った日から数えて8日以内なら、消費者は申し込みの撤回や契約の解除ができます。この場合、返品の送料は消費者が負担します。
ただし、事業者が広告で返品の特約をあらかじめ表示していれば、その特約に従うことになります。ネット通販では、広告に加えて、申し込みの最終確認画面にも特約を書く必要があります。
ここで注意したいのが書き方です。Q&AのQ13では、「返品についてはその都度御相談に応じます」という表示は、特約を表示したことにならないと回答されています。返品を受けない場合も、Q14のとおり「商品に欠陥がある場合を除き、返品には応じません」のように明示する必要があるのです。
サービスの場合も考え方は同じです。ガイドによると、1回で終わるサービスなら申し込みの撤回の可否や方法を書きます。複数回や一定期間続くサービスなら、途中で解約するときの方法を分かりやすく書く必要があります。
ここまで読んで、自社のサイトの申し込みページはどうだろうと気になった方は、LINEから気軽に聞いてください。
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表記は「特定商取引法に基づく表記」などのリンクで、すぐたどれる場所に置きます

事業者の名前・住所・電話番号は、広告の中で、消費者が容易に認識できる場所に表示しなければなりません。法人がネットで広告するときの代表者名や責任者名も同じです。
とはいえ、すべてのページに同じ内容を並べなくても構いません。ガイドは、広告をする画面に「特定商取引法に基づく表記」「会社概要」などのリンクやタブがあれば、すぐたどれる方法にあたると説明しています。
逆に、ネットオークションなどで、サイト内に表示できるのに外部の自社サイトへリンクするだけの場合は、通常これにあたりません。ここからは見方ですが、全ページの下部(フッター)にリンクを1つ置いておくと、どのページから申し込まれても条件を満たしやすくなります。
制作会社に頼む場合は、表記のページを作るか、誰が文面を用意するかを、見積もりの段階で確かめておくと安心です。依頼前の確認点は、ホームページ制作を依頼する前に確認しておきたい4つのことにまとめています。
住所や電話番号を載せたくないときの扱いは、Q&Aに条件が書かれています
自宅で開業した個人事業者にとって、住所と電話番号をサイトに出すことは悩みどころですよね。この点について、通信販売広告Q&Aは2つの扱いを示しています。
1つめは、表示の省略です。消費者から請求があったときに、表示事項を書いた書面や電子メールを遅滞なく提供すると広告に書きます。実際に請求があれば遅滞なく提供できる措置をとっていれば、住所と電話番号の表示を省略できると、Q17に書かれています。
ここでいう「遅滞なく」とは、申し込みを決める前に、十分な時間の余裕をもって提供されることです。ガイドは、短い期間で申し込みが競い合うインターネット・オークションでは、遅滞なく提供するのは難しいと考えられるとしています。
2つめは、バーチャルオフィスなどの住所と電話番号を表示する方法です。Q18では、次の条件がそろえば、法律の要請を満たすと考えられると回答されています。
- その住所と電話番号を取引の連絡先として使うことについて、個人事業者とバーチャルオフィス運営事業者との間で合意している
- バーチャルオフィス運営事業者が、個人事業者の現住所と本人名義の電話番号を把握し、確実に連絡が取れる状態になっている
ただし、いずれかが不誠実で、消費者から連絡が取れない事態が起きれば、表示義務を果たしたことにはならないとも書かれています。省略するにしても、問い合わせには確実に応じられる状態にしておく、ということですね。
判断に迷ったら、地方経済産業局の窓口で法律の解釈を問い合わせられます

消費者庁の特定商取引法ガイドには「お問合せ窓口」のページがあります。事業者からの法律解釈の問い合わせは、地方経済産業局で受け付けると案内されています。
ただし、受け付けるのは法律解釈の説明のみです。事前の指導や、個別の事例についての判断はできないと明記されています。各局の電話番号と受付時間は、窓口のページで最新のものを確かめてください。
よくある質問
ネットで予約を受け付けるサービス業でも、特定商取引法の表記は必要ですか?
消費者庁のガイドでは、通信販売の対象に、商品の販売だけでなく役務(サービス)の提供も含まれています。広告を見た人がインターネットなどで申し込む取引であれば、通信販売にあたる場合があります。ただし、営業のために結ぶ契約など、法律が適用されない場合もあります。
個人事業で、屋号だけを書いてもよいですか?
屋号だけでは足りません。通信販売広告Q&AのQ16では、個人事業者は戸籍上の氏名か、商業登記簿に記載された商号を書く必要があるとされています。通称や屋号、サイト名のみの表示は認められないと回答されています。
自宅の住所を載せずに済ませる方法はありますか?
Q&AのQ17では、請求があれば表示事項を遅滞なく提供すると広告に書き、実際に提供できる措置をとっていれば、住所と電話番号の表示を省略できるとしています。Q18では、条件を満たせばバーチャルオフィスの住所と電話番号を表示する方法も示されています。
返品を受け付けない場合は、何も書かなくてよいですか?
書く必要があります。Q&AのQ14では、返品を認めない場合もその旨を広告に明示する必要があると回答されています。表示がないと、商品を受け取った日から数えて8日以内なら、消費者は送料を負担して申し込みの撤回や解除ができる、という法律のルールが働きます。
まとめ
- 広告を見た人が郵便・電話・インターネットなどで申し込む取引は、通信販売にあたる
- 商品だけでなくサービスも対象。個人事業でも、くり返し取引していれば対象になる
- そこから申し込めるページは広告にあたる。ランディングページも同じ
- 書く項目は法第11条で決まっている。自社にあてはまらない項目は書かなくてよい
- 名前は登記上の名称か戸籍上の氏名。屋号だけでは足りない
- 引渡時期は期間か期限で書き、返品の条件は「その都度相談」にしない
- 表記は、すぐたどれる場所にリンクを置いて示す
- 迷ったら、地方経済産業局で法律の解釈を問い合わせられる
申し込みページを公開する前に、自社の取引にあてはまる項目だけを拾い出し、表記のページを1つ用意しておきましょう。
参考にした公式情報
いずれも2026年11月5日に確認しました。
ワクワクラボでは、立ち上げ期のホームページ制作にあわせて、申し込みページや表記ページの作り方のご相談にも対応しています。
「うちの申し込みの流れだと、どのページに何を置けばいいんだろう」という段階でも大丈夫です。


