制作会社が倒産してサーバーが止まる前に、サイトを救い出した手順

こんにちは。ワクワクラボのはぜやまです。
2026年2月、大阪のある制作会社が破産手続を開始しました。その会社が運用していたサーバーは、数ヶ月以内に停止する見込みでした。ワクワクラボは、そこに依頼していた岐阜県の飲食店様と、東海エリアのクリニック様のサイトを引き取っています。この記事では、そのとき実際にどの順で手を動かしたのかを書いていきます。
結論から先に書きます。私たちはWordPressをそのまま新しいサーバーへ移すのではなく、静的サイトとして復旧させる道を選びました。サーバーが止まるまでの時間が読めなかったからです。
サーバーが止まる日が近い、という状況から始まりました

破産手続が始まると、その会社が運用していたサーバーも、いつまでも動き続けるわけではありません。今回は数ヶ月以内に停止する見込みだと分かっていました。その日までに中身を手元へ移せなければ、サイトはそのまま消えるということですね。
サイトが消えて失われるのは、ページだけではありません。検索結果からの入り口も、お客様がブックマークしていたURLも、同時に無くなります。この2つを守ることが、今回の対応の目的でした。
普段からサイトのデータが手元にあるかどうかで、こうした場面での動きは大きく変わります。運用をどこに置くかの考え方は、ホームページの保守管理。外注する?自力で対応?にまとめています。
それではまず、手順の1つめから見ていきましょう。
手順1。権限は、正規の相手から受け取ります

最初にやったのは、権限の確保です。ワクワクラボは、破産管財人からWordPressの管理者権限と、ドメインのAuthCodeを正規に取得しました。
AuthCode(オースコード)は、ドメインを別の管理会社へ移すときに必要な、暗証番号のようなものです。これがないと、ドメインそのものを引き継げません。
急いでいる場面ほど、手元に残っているパスワードで先に動きたくなります。ただ、破産手続に入った会社の資産は管財人の管理下にありますから、そこを飛ばして進むわけにはいかないのです。連絡と取得には時間がかかりましたが、ここは省けない工程でした。
手順2。サーバーが止まる前に、公開中のサイトを取得します

権限が取れたら、次は中身の回収です。ここで私たちは、WordPressをそのまま新しいサーバーへ移設する形を取りませんでした。
旧サイトは、WordPressが通常と異なる階層に置かれていました
理由は、旧サイトの作りにあります。WordPressのファイルが標準の場所ではなく別の階層に置かれていたため、通常の移設手順がそのままでは使えなかったのです。
構造を標準に直したうえで移設し、旧URLから転送をかける道もあります。時間に余裕のある引き継ぎでは、私たちもそちらを選んでいます。その手順は制作会社を変えるとき、検索評価を落とさないための移行設計に書きました。
ただ今回は、サーバーが止まるまでの時間が読めない状況でした。構造の作り替えから始めると、間に合わない可能性があったのです。
動いているうちに、サイト全体を手元へ取得しました
そこで、まだ公開されているうちに表に出ている状態をまるごと取得し、静的サイトとして復旧させる形に切り替えました。静的サイトとは、サーバー側で毎回ページを組み立てるのではなく、できあがったHTMLファイルをそのまま置いておく作りのことですね。
取得には wget(ダブリューゲット)という道具を使いました。指定したサイトのページを、リンクをたどりながらまとめて保存してくれるコマンドです。
この方法のよいところは、WordPressの中身に手を入れずに済むことです。管理画面の奥がどう作られていても、表に出ているHTMLと画像とデザインは回収できます。一方で取れるのは、その時点で公開されているものだけです。ログインの先にあるページや、フォームの送信を受け取る仕組みは取得できません。
何が取れて何が取れないかは、取得を始める前に分けておく必要があります。ここを曖昧にしたまま進めると、止まったあとで足りないものに気づくことになりますね。
手順3。取得したファイルを組み直し、表示を確認します

取得はできたのですが、そのまま置いたところ画像が表示されませんでした。今回いちばん手こずったのが、この部分です。
原因は、ファイル名に付くパラメータでした。WordPressは、ファイルを読み込むURLの末尾に「?ver=」のような文字列を付けることがあります。取得の際にこの文字列がファイル名の一部として保存されてしまい、JavaScriptが本来のファイルを見つけられなくなっていたのです。
JavaScript(ジャバスクリプト)は、ページの中で動きを作る仕組みです。今回はその読み込みが途中で失敗し、結果として画像の表示まで止まっていました。画像ファイル自体は手元にあるのに出てこない、という状態でしたね。
対応としては、パラメータ付きで保存されたファイル名と、HTML側から呼ばれている名前を突き合わせて揃えました。地味な作業ですが、ここを合わせないと見た目が完成しません。取得して終わりにせず、必ずブラウザで開いて確認する工程が要ります。
ここまで読んで、いま依頼している会社に何かあったら自社はどうなるだろうと思われた方は、LINEから気軽に聞いてください。
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手順4。更新が必要な機能だけ、別のWordPressで作り直します

静的サイトには弱点があります。できあがったHTMLを置いているだけですから、そのままでは記事を追加できません。
今回のサイトには、お知らせを更新する機能がありました。ここを止めてしまうと、日々の発信ができなくなります。そこでお知らせの部分だけ別のWordPressを立て、そこから記事を配信する形で作り直しました。
全体をWordPressに戻すのではなく、更新が必要な場所だけを切り出す、という考え方ですね。こうすると、サイトの大半は静的なまま軽く保てて、動かしたい部分だけが動く状態になります。
手順5。URL構造は変えずに、そのまま引き継ぎます

最後はURLです。今回は、旧サイトのURL構造をそのまま維持しました。
作り直すタイミングですから、URLも整理したくなります。ただ、URLを変えると、検索エンジンが持っている評価の結びつきも、お客様のブックマークも、いったん切れることになります。救い出すことが目的の場面で、そこを揺らす理由はありませんでした。
構造を維持したことで、旧URLと新URLをつなぐ転送の設計そのものが不要になりました。手数を減らせたという意味でも、この判断は効いたのです。
サイトを救い出せても、支払いの問題は別に残ります
ここまでは技術の話ですが、今回いちばん重かったのは別のところでした。サイトは引き取れても、制作費の支払いが残る場合があるのです。
分割払いで組んでいた場合、支払先は制作会社ではなく、あいだに入っている信販会社になっていることがあります。制作会社が無くなっても、その契約だけは残っていることがあるのですね。事業者として結んだ契約では、消費者向けの保護の仕組みが使えない場合もあります。
契約の中身によって扱いは変わるため、個別の判断は弁護士にご相談ください。契約する前に見ておきたい項目は、ホームページ制作を依頼する前に確認しておきたい4つのことに整理しました。
よくある質問
制作会社が倒産すると聞きました。いちばん先にやることは何ですか?
サーバーとドメインの契約が誰の名義になっているかを確認してください。自社名義であれば、制作会社が事業をやめてもサーバーはそのまま動きます。制作会社の名義であれば、いつ止まる見込みかを確認したうえで、中身を手元に取得する準備に入ります。あわせて、いま管理画面に入れる状態かどうかも見ておいてください。
静的サイトにすると、何ができなくなりますか?
管理画面から記事や情報を追加・更新することができなくなります。お問い合わせフォームのように、送信を受け取る仕組みも別に用意する必要があります。更新したい機能があるなら、今回のお知らせのように、その部分だけを切り出して作り直す形になります。
管理画面に入れない場合でも、サイトを取り出せますか?
公開されているページであれば、表に出ているHTMLと画像は取得できます。ただし記事の元データや、ログインの先にあるページは取れません。管理者権限は、正規の手続きで取得できるなら取っておいたほうが、あとで選べる道が増えます。
この記事の要点
- 制作会社の破産でサーバーが止まる場合、停止までに中身を手元へ取得できるかが分かれ目になる
- 管理者権限とドメインのAuthCodeは、破産管財人から正規に取得する
- WordPressが標準と異なる階層にあると、通常の移設手順はそのままでは使えない
- 時間が読めない場面では、公開中のサイトを取得して静的サイトとして復旧させる道がある
- 取得したファイルは、パラメータ付きの名前でJavaScriptが動かなくなることがある。必ず表示を確認する
- 更新が必要な機能は、別のWordPressを立てて切り出す
- URL構造を維持すれば、検索評価とブックマークをそのまま引き継げる
- サイトを救い出せても、分割払いの支払いは残る場合がある
ワクワクラボでは、他社が運用しているサイトの引き取りと、サーバーが止まる前の取得をお受けしています。「いま入れる管理画面があるのかどうかから見てほしい」という段階でも大丈夫です。


